マイナンバーの提供ができる場合、できない場合

IT・情報セキュリティ

 マイナンバーの提供制限について教えてください。

 民間事業者は、個人番号関係事務を処理するために必要がある場合に限って、従業員等に対して個人番号の提供を求めることができます(番号法14条)。
 収集制限に関する具体的な規定は番号法20条に規定されており、「何人も、番号法第19条各号のいずれかに該当する場合を除き、他人の個人番号を含む特定個人情報を収集・・してはならない。」としています。

解説

目次

  1. 個人番号の提供の要求
    1. 提供の要求を求めることができる場合
    2. 個人番号の提供を求める時期
  2. 特定個人情報の収集制限
    1. 給与事務担当が注意すべき事
    2. 個人番号を受け取る担当者と支払調書作成事務の担当が異なる場合
    3. 収集した個人番号に誤りがあった場合
  3. 適正な取得(個人情報保護法17条)

個人番号の提供の要求

提供の要求を求めることができる場合

 民間事業者は、個人番号関係事務を処理するために必要がある場合に限って、従業員等に対して個人番号の提供を求めることができます(番号法14条)。

 すなわち、民間事業者は、従業員等に対し、給与の源泉徴収事務、健康保険・厚生年金保険届出事務等に必要な個人番号の提供を求めることになります。また、社外に対しては講演料、地代等に係る個人の支払先に対し、支払調書作成事務に必要な個人番号の提供を求めることとなります。

 民間事業者は、従業員等に対し、給与の源泉徴収事務のため、当該従業員等の扶養親族の個人番号を記載した扶養控除等申告書の提出を求めることになります。この場合、従業員等は扶養親族の個人番号を記載した扶養控除等申告書を提出する法令(所得税法194条1項)上の義務を負っていることから「個人番号関係事務実施者」として取り扱われます。

 株式等振替制度において、株式発行者から株主名簿に関する事務の委託を受けた株主名簿管理人(信託銀行等)は、振替機関に対して、株主の個人番号の提供を求めることになります。

個人番号の提供を求める時期

 民間事業者が行う個人番号関係事務においては、個人番号関係事務が発生した時点で個人番号の提供を求めることが原則です。

 もっとも、本人との法律関係等に基づき、個人番号関係事務の発生が予想される場合には、契約を締結した時点等の当該事務の発生が予想できた時点で個人番号の提供を求めることが可能であると解されます。

 契約内容等から個人番号関係事務が明らかに発生しないと認められる場合には、個人番号の提供を求めてはなりません。

 民間事業者が「契約の締結時に個人番号の提供を求めることができる事例」としては以下の場合が挙げられます。

特定個人情報の適正な取扱いに関する ガイドライン(事業者編)第4-3-⑴ 個人番号の提供の要求
  • 従業員等の給与の源泉徴収事務、健康保険・厚生年金保険届出事務等及びこれらに伴う給与所得の源泉徴収票、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届等の作成事務の場合は、雇用契約の締結時点で個人番号の提供を求めることも可能であると解されます。

  • 非上場会社の株主に対する配当金の支払事務及びこれに伴う支払調書の作成事務の場合は、所得税法第224条第1項及び同法施行令第336条第1項の規定により支払の確定の都度、個人番号の告知を求めることが原則ですが、当該株主が株主としての地位を得た時点で個人番号の提供を求めることも可能であると解されます。

  • 地代等の支払に伴う支払調書の作成事務の場合は、賃料の金額により契約の締結時点で支払調書の作成が不要であることが明らかである場合を除き、契約の締結時点で個人番号の提供を求めることが可能であると解されます。

 また、内定者、派遣社員等について以下のとおり、個人番号の提供を受けることができます。

特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)に関するQ&A(回答)より

  1. 内定者
    いわゆる「内定者」については、その立場や状況が個々に異なることから一律に取り扱うことはできませんが、例えば、「内定者」が確実に雇用されることが予想される場合(正式な内定通知がなされ、入社に関する誓約書を提出した場合等)には、その時点で個人番号の提供を求めることができると解されます。

  2. 派遣社員
    人材派遣会社に登録したのみでは、雇用されるかどうかは未定で個人番号関係事務の発生が予想されず、いまだ給与の源泉徴収事務等の個人番号関係事務を処理する必要性が認められるとはいえないため、原則として登録者の個人番号の提供を求めることはできません。
    ただし、登録時にしか本人確認をした上で個人番号の提供を求める機会がなく、実際に雇用する際の給与支給条件等を決める等、近い将来雇用契約が成立する蓋然性が高いと認められる場合には、雇用契約が成立した場合に準じて、個人番号の提供を求めることができると解されます。

  3. 親会社が子会社の従業員に対してストックオプションを交付する場合
    子会社の従業員等となった時点で、子会社との雇用関係に基づいて親会社からストックオプションの交付を受けることが予想されるのであれば、個人番号関係事務を処理する必要性があるものと認められるので、親会社においてはその時点で個人番号の提供を受けることができると解されます。

  4. 従業員持株会
    従業員等がまだ株主となっていない時点では、個人番号関係事務の処理のために必要がある場合とはいえないので、持株会が従業員等に個人番号の提供を求めることはできません。従業員等が株主となり持株会に入会した時点で、当該従業員等に対し、個人番号の提供を求めることができます。
    また、持株会が個人番号の収集・本人確認事務を所属会社に委託している場合は、持株会が所属会社経由で従業員等の個人番号の提供を受けることができます。

特定個人情報の収集制限

 番号法20条は、「何人も、番号法第19条各号のいずれかに該当する場合を除き、他人の個人番号を含む特定個人情報を収集・・してはならない。」として、収集制限について規定しています。
 なお、「他人」とは「自己と同一の世帯に属する者以外の者」であり、子、配偶者等の自己と同一の世帯に属する者の特定個人情報は、同法19条各号のいずれかに該当しなくても、収集することができます。
 「収集」とは、集める意思を持って自己の占有に置くことを意味し、例えば、人から個人番号を記載したメモを受け取ること、人から聞き取った個人番号をメモすること等、直接取得する場合のほか、電子計算機等を操作して個人番号を画面上に表示させ、その個人番号を書き取ること、プリントアウトすること等を含みます。一方、特定個人情報の提示を受けただけでは、「収集」に当たりません。

給与事務担当が注意すべき事

 民間事業者の給与事務担当者として個人番号関係事務に従事する者が、その個人番号関係事務以外の目的で他の従業員等の特定個人情報をノートに書き写してはなりません。
 民間事業者の中で、単に個人番号が記載された書類等を受け取り、支払調書作成事務に従事する者に受け渡す立場の者は、独自に個人番号を保管する必要がないため、個人番号の確認等の必要な事務を行った後はできるだけ速やかにその書類を受け渡すこととし、自分の手元に個人番号を残してはなりません。

個人番号を受け取る担当者と支払調書作成事務の担当が異なる場合

 例えば、事業者が講師に対して講演料を支払う場合において、講師から個人番号が記載された書類等を受け取る担当者と支払調書作成事務を行う担当者が異なるときは、書類等を受け取る担当者は、支払調書作成事務を行う担当者にできるだけ速やかにその書類を受け渡すこととし、自分の手元に個人番号を残してはなりません。

 なお、個人番号が記載された書類等を受け取る担当者も、個人番号関係事務に従事する事業者の一部として当該事務に従事するので、当該個人番号により特定される本人から当該書類等を受け取る際に、当該書類等の不備がないかどうか個人番号を含めて確認することができます。
 この場合、個人番号について本人確認をするとガイドライン上の「事務取扱担当者」として扱われますが、単に書類の不備がないか確認するだけでは、「事務取扱担当者」には該当しないと考えられます。

 個人番号の確認作業をその担当者に行わせる場合は、特定個人情報を見ることができないようにする措置は必要ありません。一方、個人番号の確認作業をその担当者に行わせない場合、特定個人情報を見ることができないようにすることは、安全管理上有効な措置と考えられます。

収集した個人番号に誤りがあった場合

 収集した個人番号に誤りがあった場合の罰則規定はありませんが、番号法第16条により、本人から個人番号の提供を受けるときは、本人確認(番号確認と身元確認)が義務付けられており、また、個人情報保護法19条により、正確性の確保の努力義務が課されています。

適正な取得(個人情報保護法17条)

 事業者は、個人情報取扱事業者として、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはなりません。

この実務Q&Aを見ている人はこちらも見ています

無料会員登録で
リサーチ業務を効率化

1分で登録完了

無料で会員登録する