休職中の社員をどのように管理するべきか

人事労務
小島 彰社労士 こじまあきら社会保険労務士事務所

 休職中の社員をどのように管理すればいいのでしょうか。

 休職者との接触を敬遠せず、十分な情報提供を行い、休職者の不安解消や相談の場を設けることが重要です。休職者との連絡は電話ではなくメールで行い、窓口を一本化することが推奨されます。連絡窓口は直接の上司、部下、同僚ではなく、労務担当者とするのがよいでしょう。

解説

目次

  1. 定期的に連絡をする
  2. 病状の確認と復職の判断
  3. 復職できない場合の解雇の有無について
  4. 私傷病休職の制度を適用せずに解雇できる場合

定期的に連絡をする

 休職中は、出勤しないで療養に専念することになるので、休職者と連絡をしなくなってしまうこともあり得ますが、病気静養中だからといって休職者との接触を敬遠するのではなく、十分な情報提供をして、精神的な孤独や復職できるかなどの不安を解消することや相談できる場を設けることが重要です。もっとも、これを休職者の報告義務としてしまうと休職者にとって大きな負担となってしまいますので、その方法には注意が必要です。

 休職者との連絡においては、電話ではなくメールを活用するとよいでしょう。電話だとタイミングによっては休職者にとって苦痛になることもありますが、メールなら体調のよい時に対応できるので、負担が軽くてすみます。しかも文字として記録が残るという利点もあります。また、連絡の窓口は一本化することも大切です。複数の人から接触されるのは休職者にとってストレスとなることもあります。日頃の仕事の直接の上司、部下、同僚より、離れた位置にいる労務担当者の方がよいでしょう。

病状の確認と復職の判断

 特にうつ病からの復職には時間がかかるため、タイミングを誤り早く復職させてしまうと再発のリスクが高まります。順を追って職場復帰を考えるようにしましょう。まず、「朝決まった時間に起きられるようになった」「三度の食事がきちんととれるようになった」など、日常生活が送れるようになったかどうかについて確認します。その後、外出できるか集中力が回復しているかを確認します。次に主治医との連絡が取れるようにします。これは休職者本人及び主治医の許可が必要なので、協力が得られるように本人と主治医にお願いします。休職中の情報収集は、職場復帰には不可欠なものとなります。「規則だから」「仕事だから」と休職者にプレッシャーをかけるようなことはせず、休職者が安心できる環境を醸成していくことが大切です。

 うつ病を発症した場合、その完治には時間がかかります。一方で会社の規定する私傷病での休職期間は、うつ病を想定していないケースが多く、数か月単位の期間が設定されています。そのため、休職期間満了後も復職できないこともあります。

 責任感の強い休職者ほど完治していなくても復職しようとします。しかし無理して復職すると再発してしまいますので、主治医の意見を基に休職者、労務担当者、産業医でしっかりと話し合い、通常の勤務ができる状態であるかを確認することが必要です。

 なお、労働者が休職から復職する際に、会社の判断で配転をすることは可能です。ただし、労働者との間で職種限定契約を結んでいる場合には、労働者の同意がない限り、異職種への配転はできません。

復職できない場合の解雇の有無について

 休職期間が満了しても復職できない場合、休職者を解雇することができます。ただし、就業規則に解雇事由のひとつとして記載していなければなりません。解雇を行う場合、労働基準法により、30日前に予告するか30日分の予告手当の支払いが必要です。また、休職期間満了後に復帰できないことを理由とした懲戒解雇はできません。

 自然退職の場合は、あらかじめ就業規則に「休職期間満了時までに復職できないときは自然退職とする」といった規定を置いていれば、休職期間経過時に退職したと扱うことができるため、自然退職とした方が会社の負担は軽減されます。ただし、労働者が復職を望んでいる場合もあるため、復職拒否の理由を具体的に示します。

 一方、休職中という仕事ができない状態で会社を辞めることは、休職者にとって大きな不安があります。最低限、経済的不安を解消するため、傷病手当金(201ページ)の継続給付または休業補償給付の継続給付などの権利について説明するとよいでしょう。

 なお、うつ病の発症が業務上の原因である場合、つまり労災と認定された場合は、療養期間中とその後30日間は、労働基準法により解雇することができませんので注意が必要です。

私傷病休職の制度を適用せずに解雇できる場合

 私傷病休職は、病気やケガで働けなくなった労働者が、すぐに解雇されないようにするための制度です。そのため、私傷病休職の対象労働者については、原則として、私傷病休職の制度を適用せずに解雇はできません。ただし、病気やケガの程度が重く、休職期間中に治療しただけでは職場復帰が不可能なことが客観的に明らかな場合は、私傷病休職の制度を適用せずに労働者を解雇することが可能です。

 たとえば、運転手が失明した場合は、職場復帰が不可能なことが明らかなので、私傷病休職の制度を適用せずに解雇が可能です。

復職の判断

復職の判断

©小島彰 本記事は、小島彰監修「事業者必携 入門図解 働き方改革法に対応! 会社で使う 労働時間・休日・休暇・休職・休業の法律と書式」(三修社、2019年)の内容を転載したものです。
事業者必携 入門図解 働き方改革法に対応! 会社で使う 労働時間・休日・休暇・休職・休業の法律と書式

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