「休職」について就業規則に定める際の留意点

人事労務
小島 彰社労士 こじまあきら社会保険労務士事務所

 就業規則に「休職」に関する定めをおく場合、どのような規定とするべきでしょうか。また、休職の期間、休職期間中の従業員の取扱い、復職について定める際のポイントを教えてください。

 休職という制度は法律で定められている制度ではないため、各会社がそれぞれの事情に応じた条件を設定することができます。休職の期間、休職期間中の従業員の取扱い、復職については自社の実情に合った期間を設定することが大切です。

解説

目次

  1. 休職
  2. 休職期間
  3. 休職期間の取扱い
  4. 復職

〈第2章 人事 つづき〉


第4節 休職


(休職)
第13条 従業員が下記の各号の一に該当するときには休職を命ずることがある。ただし、第1号に該当する場合で、回復の見込みが全くないときはこの限りではない。
(1)業務外の傷病による欠勤が連続1か月以上(欠勤中の休日も含む)にわたったとき。ただし、先行する私傷病欠勤の途中において、他の私傷病が発生した場合であっても、欠勤の起算日は変更せず通算する。また、同一または類似する傷病を理由とする休職は1回限りとする。
(2)私事により、本人からの申請により会社が認めたとき。
(3)公の職務に就き、業務に支障があるとき。
(4)会社の命令により出向をしたとき。
(5)前各号の他、特別の事情があって、会社が休職をさせることを必要と認めたとき。
2 前項による休職の欠勤開始日は下記の通りとする。
(1)前項第1号の場合 欠勤期間が1か月に達した日の翌日
(2)前項第2号から5号までの場合 会社が指定した日

(休職期間)
第14条 休職期間は、下記の通りとする。

(1)前条第1項第1号の場合
勤続5年未満 1か月
勤続5年以上10年未満 3か月
勤続10年以上 6か月
ただし、会社がとくに必要と認めた場合は、期間を延長することがある。

(2)前条第1項第2号から5号までの場合
その必要な範囲で、会社の認める期間


(休職期間中の取扱い)
第15条 休職期間中、賃金は支給しない。ただし、特別の事情がある場合はこの限りではない。
2 休職期間中の従業員は、毎月1回以上現在の状況を会社へ報告しなければならない。
3 社会保険料、住民税その他従業員が負担すべきものは、毎月◯日までに会社に支払うものとする。
4 休職期間中に一時出勤した場合でも、1か月以内に同じ理由で欠勤するようになったときは期間の中断は行わない。
5 休職期間満了後においても休職事由が消滅しないときは、当該満了の日をもって退職とする。
6 休職期間は、勤続年数に算入しない。ただし、特別の事情がある場合はこの限りではない。

(復職)
第16条 復職にあたって従業員はすみやかに休職事由が消滅した旨を会社に通知し、診断書を添付して復職願を提出しなければならない。ただし、第13条第1項第1号の休職の場合、会社が指定した医療機関で受診を行い、その結果によって復職の是非を判断することができる。従業員は、正当な理由なくこの受診を拒否することはできないものとする。
2 復職に際して、旧職務に復職させることを原則とするが、旧職務に復帰させることが困難な場合、または不適当と認められる場合は、当該従業員の職務提供状況に応じて異なる職務に配置することがある。この場合、労働条件の変更および役職の変更等を伴うことがある。
3 復職しても1か月以内に同一または類似の理由で通算して4労働日欠勤またはそれに準ずる状態になった場合は、再度休職を命じ、前回の休職期間と通算する。

休職

 従業員の長期の欠勤は解雇理由にもなりますが、休もうとする事情が病気や事故などやむを得ないものであり、その従業員が業務を行う上で重要な戦力になっている場合、そのまま解雇することは会社にとっても損失です。このため、「休職」という制度を作って雇用関係を継続しようとする会社が多くあります。なお、仕事中または通勤中の事故などによる病気やケガ(業務災害・通勤災害)は、労災保険の適用範囲となるため、ここでは「業務外の傷病」(プライベートな理由による病気やケガで「私傷病」ともいう)となっています。

 休職という制度は法律で定められている制度ではないため、各会社がそれぞれの事情で条件を設定することができますが、多くの会社の場合は勤続期間に応じて1か月から数か月の休職を認めて、休職理由がなくなったときに復職を認めるという方法をとっています。

 休職理由として認められるものには、次のようなものがあります。

  • 業務外で起こった傷病による長期欠勤が続いている場合
  • 資格取得や留学などの私的理由により、長期休暇を欲する場合
  • 議員に当選した、刑事事件により身柄を拘束されたなど、出勤ができない公的な理由がある場合
  • 自社の労働組合の専従職員になる場合
  • 会社の事情で休職を命じる場合

 会社側としては、自社として認めることができる休職理由を選別した上、それを就業規則に定めます。

 また、どの程度の期間の休職を認めるか、休職中は賃金を支払うのか、復職の際の手続きや、休職期間を過ぎても復職できない場合の扱いをどうするのか、などの詳細な内容についても就業規則に定めておき、実際に休職制度を利用する従業員が発生した場合にトラブルが生じないよう、入念に事前の準備をしておきましょう。

休職期間

 休職中の従業員を抱える会社は、①その間に新しい従業員を雇いにくい、②経験の浅いパートタイム労働者やアルバイトでその穴を補わなければならない、③従業員が休職期間満了時に必ず復職するとは限らない、④復職した従業員が休職前と同等の業務をこなせるかどうかわからない、などのリスクを抱えることになります。そのため、休職期間の長さを十分に検討する必要があります。

 休職期間の設定を行う場合、ひな形就業規則は、大企業向けの休職期間を記載している場合が多く、とくに中小企業の経営者などは注意が必要です。ひな形就業規則をそのまま使ったため、経営者の意図しない休職を認めざるを得なくなる可能性があります。休職制度はリスクを伴う制度です。導入する法令上の義務はありませんが、導入する場合は自社の体力にあった休職期間を考えて設定しましょう。

 休職期間は、たとえば勤続年数5年未満の従業員は1か月、5~10年の従業員は3か月、10年以上の従業員は半年など、会社への貢献度や休職の理由などによって上限を変えることも多くあります。大企業では、1年〜数年の休職期間を多く採用しています。

休職期間の取扱い

 休職期間中、従業員に保証されるのは「会社の労働者」という身分です。それ以外の賃金、福利厚生制度の利用、勤続年数の計算などの扱いについては、それぞれの会社の事情に応じて、就業規則に定めることができます。毎月の給与や年数回の賞与は、あくまでも「労働に対する対価」ですから、休職中は「労働」が労働者から提供されていないため、支払義務はないと解釈することができます。休職の制度が従業員の身分を守るためという会社からの恩恵的な意味合いが強いため、休職期間中は無給とするケースが多くなっています。

 なお、健康保険、厚生年金保険、雇用保険は休職期間中であっても加入しなければならないため、保険料の支払いをどのようにするかを決めておく必要があります。勤続年数についても、後の人事考課や有給休暇の日数を計算する際などに影響する事項であるため、休職期間を算入するかどうかを明確に示しておきます。

復職

 休職理由の解消、休職期間の満了などを受けて従業員が復職する際には、決めておくべき課題があります。たとえば、留学など私的な理由による休職であれば、復職を認めることに大きな問題はないと思われます。しかし、疾病やケガによる休職の場合、会社は医師の診断書の提出を求めるなどによって、復職するのに支障がない程度に回復したのかを確認する必要があります。最近は、精神疾患による休職が問題とされており、復職に際しては充分な配慮が必要です。また、休職期間が長い場合は、社内の状況変化や技術の進歩に対応できるかという懸念があるため、どの業務に復帰させるのかや、研修や教育を実施するか、などをあらかじめ示しておく必要があります。さらに、休職期間経過後も復職ができない場合の処遇についても明確にします。

©小島彰 本記事は、小島彰監修「事業者必携 働き方改革法に対応! 就業規則の作成・見直し実践マニュアル」(三修社、2019年)の内容を転載したものです。
事業者必携 働き方改革法に対応! 就業規則の作成・見直し実践マニュアル

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