ビットキーの事例から学ぶ、契約DX推進時の障壁の乗り越え方と導入後の活用ポイントPR

法務部

目次

  1. 月100件の契約業務を2.5人で対応するには、契約DXが必要不可欠だった
  2. ビットキーにおける契約DX導入のプロセスとは
  3. どのように社内の理解を得て、予算を確保すべきか

「現在に見られる契約DXは、他のシステムの導入ケースと同様に、結果として既存システムをリプレイスするやり方を踏襲するような、『スクラップアンドビルド型』によるものが多く、既存システム導入にかかったコストや労力が都度リセットされるサイクルになっている。多くの企業は、新しいシステムと既存のシステムが共存する『共存共創型』を目指していくべき」——そう語るのは、株式会社Hubble 取締役CLO/弁護士 酒井智也氏です。こうした考えのもとHubbleでは、既存の稟議システムやコミュニケーションシステムと共存でき、リプレイスコストがあまりかからない契約管理システムを提供しています。

2021年11月25日に開催されたオンラインカンファレンス「Legal Innovation Conference 〜法務DXの壁を越えろ〜」では、急成長企業である株式会社ビットキーをロールモデルに、どのような視点と発想で共存共創型の契約DXを実現し、事業の屋台骨を支える契約オペレーションを組んでいくべきか、株式会社ビットキー 法務職 保泉綾香氏とともに議論しました。

左から、株式会社ビットキー 法務職 保泉綾香氏、株式会社Hubble 取締役CLO/弁護士 酒井智也氏

左から、株式会社ビットキー 法務職 保泉綾香氏、株式会社Hubble 取締役CLO/弁護士 酒井智也氏

月100件の契約業務を2.5人で対応するには、契約DXが必要不可欠だった

独自のデジタルキーテクノロジーをベースにさまざまなサービスを展開する株式会社ビットキー(以下、ビットキー)。同社の法務部門は、「組織集団のエージェントとして、事業を手掛けるスペシャリストたちが面倒だと感じることを極限まで刈り取る」ことを使命に掲げています。そのため、契約書の決裁申請書の作成から製本・郵送に至るまでの行程をすべて法務部門が担当しています。現在は、2.5人のメンバーで月間約100件の契約書業務に対応しており、リソース不足という大きな課題を解決すべく、契約DXに取り組んできました。

まず実施したことは、フローとストックの2つの管理簿の作成です。フローの管理簿では、契約書審査の依頼受付から完了までのステータスを管理。ストックの管理簿では、社内外の合意を経て決裁段階まで進んだ契約書の各項目を一意の管理番号に紐付けて管理しています。

次に、これら管理簿への入力をフォーム経由で行えるようにしました。フォームで取得した情報は、自動で管理簿に流し込まれます。これにより、項目に抜け漏れがなくなる、条件分岐をコントロールできるなどといったメリットがあります。

最後に、作業が一定条件を満たした際、メッセージが自動送信される機能を実装しました。たとえば、クラウド上に契約書の保管が完了した際には、依頼者に自動でSlackを通じてメッセージが送信されます。これにより、案内漏れを防ぎ、コミュニケーションコストを下げることが可能となります。

ビットキーの法務部門がこうした契約DXのために利用した主なツールは、Googleスプレッドシート、Slackワークフロー、そしてHubble。フォームも自動メッセージも、どちらもSlackの「ワークフロービルダー」機能を利用していることが特徴です。これは、依頼者の面倒を刈り取るために体験を重視し、レビュー依頼時にはSlack、契約締結後はHubble、といった形で依頼者がそれぞれの工程において1つのツールで作業を完結できるようにすることが狙いです。

ビットキーにおける契約DX導入のプロセスとは

「Slackワークフローを駆使することで契約業務全体のDXを実現できているようだが、どのような課題に対してどこから着手したのか」という酒井氏の問いかけに対して、保泉氏は「Wordファイルを修正する際に『サイレント修正』(変更履歴を入れずに文言を修正)が発生することと、最終版のWordファイルが欲しいという営業からの要望にあわせ、いかに最終版のWordファイルを統一管理するかということの2つが課題だった」と、意外にも最初は法務や営業の細かなペインの解決から着手していることを明かしました。しかし、そうした「点」の課題を解決していくなかで、法務部門の使命に立ち返り、依頼者の体験を向上させていくためにはすべてのフローが繋がっている必要性を感じていったといいます。

契約業務全体を変革していくためには、意思決定者をはじめとする周囲の人間を巻き込む必要があり、そこに障壁を感じている企業も多くあります。ビットキーでも、「契約管理をしたい」という法務部門のニーズに対し、「依頼者側の共通理解が得られない」という障壁がスタート時にあったといいます。

こうした法務部門と依頼者側との意識のギャップを埋めるため、ビットキーでは、「そもそもなぜ契約を結ぶのか」といった、法務担当者にとっては当たり前に思える内容も含めた社内向けのオンラインセミナーを実施。セミナーでは、単に法務部門から知識を提供するだけでなく、現場の意見も取り入れながら歩み寄っていくことで、契約業務におけるリテラシーの差を解消していきました。

どのように社内の理解を得て、予算を確保すべきか

酒井氏は、これまで1,000社以上の法務担当者にヒアリングを行ってきたなかで、「現場でとしてはリーガルテックを導入したいが、予算をどう確保したらよいかわからない」といった声を多く聞いてきました。酒井氏は、こうした悩みは「システム導入におけるROIをどう算出するか」という問題に収斂すると説明。そのうえで、ROIを考える際には、即効性を求める際に重視する「費用対効果」のみを考えるのではなく、将来の資産として中長期的にどれだけの利益を生むかという「投資対効果」も見ることが重要であるとします。中長期的なメリットの例としては、データを蓄積することで必要な人が必要な情報にアクセスできるようになり意思決定スピードが上がることや、「管理のための作業」といった雑務の大幅な減少などにより従業員が働きやすい環境を作ることで組織形成・将来の採用にプラスになることなどがあると語ります。

「費用対効果は、『費用対効果 = 業務効率化 × 収益向上 × 損失削減』と捉えて、ROIを定量的に表現していくことは可能。しかし、そもそもこれらの要素について、説得力ある形で計算できるほど業務が可視化されていないところに根本的な問題がある。これが投資対効果の観点につながる。DXにより現状を可視化し、業務改善可能な基盤を構築すべきということを、費用対効果とは別で整理して、上長などの意思決定者に訴求してほしい」(酒井氏)

株式会社Hubble 取締役CLO/弁護士 酒井智也氏

ビットキーでは、どのような社内説明を経て予算確保を実現したのでしょうか。保泉氏は「具体的なROIの算出はしていない」と前置きしたうえで、「当社のCEOはグローバル基準で会社を捉えることを重視しており、契約書のバージョン管理が重要である、DXを推進することに投資効果があるという考えをもとから持っていた」と、トップの理解が大きかったと説明します。

こうしたビットキーの事例を受けて酒井氏は、「法務部門のメリットのみを訴求するよりは、経営陣や事業部の契約リテラシーが向上するメリットや、今後の経済活動において重要であることの提示が重要」と補足。保泉氏も酒井氏の意見に同意する形で、「DXによって契約のステップが明確になることで、法務だけでなく依頼者にとっても経営陣にとっても『契約』という業務が見えやすくなる」と付け加えました。

また、保泉氏は「依頼者に対する勉強会をHubbleの導入後ではなく、導入以前に行っていれば、依頼者側の声を拾うことができたと思う。そうすれば経営陣にもより説明しやすかったかもしれない」とも振り返りました。そして最後に、「リーガルテックの導入を考えているものの経営陣を説得できない」と悩んでいる法務担当者に対して、次のようにアドバイスを送り、講演を締めくくりました。

「リーガルテックの投資対効果は大きい。意思決定者に対しては、法務部門の視点だけで説明するよりは、依頼者側からも前向きな声をもらった方がプラスになるため、まずは依頼者に契約管理によるメリットを説明していくことが大事。それが最終的に経営者への訴求ポイントになっていくはず」(保泉氏)

株式会社ビットキー 法務職 保泉綾香氏

株式会社Hubble
Hubbleは「契約をデザインし、合理化する」をミッションに、契約業務における摩擦や無駄な負担をなくし、より効率的なコラボレーションを実現するプロダクトを開発・提供します。法務の現場をテクノロジーで支援することを通じて、新しい法務の在り方や働き方を提案します。

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